一人暮らしの賃貸選びで築年数は気にする?築古・築浅のメリットを紹介


「築古物件と築浅物件は一体何が違うんだろう?」

一人暮らしの賃貸物件を選ぶとき、こんな疑問を持ったことはありませんか?賃貸不動産に詳しくない方だと、普通は築古物件と築浅物件の違いはよく分かりません。
なんとなく綺麗そうだし、という理由で築浅物件を選んでいる方は意外と多いのではないでしょうか。

この記事では、一人暮らしの予定がある方向けに、築浅物件と築古物件の違いを解説していきます。それぞれのメリットや、物件選びの際の注意点を見ていきましょう。

「築浅と築古では何が違うの?」
「メリットは何?」

こんな疑問をお持ちの方、ぜひチェックしてください。

1.築年数で影響が出るのはどんなところか

物件を建ててから年数が経過すると、建築したての物件にはない様々な問題が発生してきます。
ここでは、築古の物件に現れる影響について、以下の三点を挙げて解説します。

(1)設備の劣化
(2)害虫の発生しやすさ
(3)耐震基準

それぞれどういった問題があるのか見ていきましょう。

(1)設備の劣化

築年数の経過した物件は、新築のものと比較すると設備が劣化している場合があります。
マンションやアパートでいう設備の劣化とは、例えば以下のようなものが代表的です。

・外壁の傷みや塗装の剥がれ
・配管の劣化
・給湯設備などの消耗

なお、設備の劣化に対してメンテナンスやリノベーションを定期的に行っているオーナーも多いです。そのため、築古物件なら必ずしも建物や設備が傷んでいるとは言えません。
一方で、建物の修繕や改修については、特に法律の規制はありません。
築年数の経っている物件の中には、家賃を下げて入居者を募集し、傷むまま放置されているものも一部存在します。
年数の経過した物件を検討する際は、設備に劣化がないか注意が必要です。

(2)害虫の発生しやすさ

古いマンションやアパートは、築年数の少ない物件と比較すると隙間が多いです。

そのため虫が侵入しやすく、入居者から害虫の発生が報告されているケースがあります。特に木造の物件や、低い階に位置している部屋は、築浅物件と比べて虫の侵入リスクが高いです。

(3)耐震基準

古い物件の中には、現行とは異なる耐震基準で建築されたものが存在します。
2023年時点で現行の耐震基準は、1981年(昭和56年)に改正されたものです。この年の改正により、それ以前に適用されていた耐震基準よりも、建物の耐震性に関する規制が厳しくなりました。

改正前の新耐震基準と改正後の旧耐震基準では、耐震性能の面で以下のような違いがあります。

旧耐震基準:震度5強の揺れで倒壊しない程度。建物の一部が破損しても、修繕すれば住み続けられる規模に損傷がとどまること。

新耐震基準:震度6強から7程度の揺れでも倒壊しないこと。

平成の時代に入ってから、日本各地で震度7を超える大きな地震が何度か発生しています。旧耐震基準で建築されている建物では、万が一の地震の際に倒壊してしまうリスクがあるので注意が必要です。

参考:https://www.athome.co.jp/contents/words/term_2503/

2.築浅物件のメリット

築浅物件は、築古物件と比較してどんなメリットがあるのでしょうか。

築浅物件が評価されるポイントはいくつか存在し、その中でも特に人気なのは以下の二点です。

(1)設備が新しい
(2)内装が新しい

それぞれ詳細を確認しましょう。

(1)設備が新しい

築浅物件がもつメリットの一つは、建物の設備が新しいことです。
築古物件では、付属設備や配管などが劣化している場合があります。

居住中に以下のようなトラブルに見舞われるかもしれません。

・エアコンが故障して修理が必要になった
・水道管の一部が壊れており下の階に水が漏れていた
・給湯器が壊れて急にお湯が出なくなった

定期的に設備のチェックをしている物件も多いですが、壊れたら修理するという考え方の大家さんだと、一時的に生活が不便になる可能性があります。
この点、築浅物件であれば、設備の劣化を気にする必要はありません。安心して快適に生活できるという点は、築浅物件のメリットのひとつと言えます。

(2)内装が新しい

築浅物件は、おおむね内装が新しいため、壁や床の汚れや剥がれなどを気にする必要がありません。
古い物件にありがちな「使い古し感」がないため、汚れや消耗が気になる人にはおすすめです。
また、建物の外観や内装のデザインもモダンでおしゃれな場合が多いです。
見た目の可愛いマンションに住みたい、おしゃれな部屋を選びたいという方には築浅物件はぴったりでしょう。

3.築古物件のメリット

内装と設備の面で築浅物件が人気の一方、築古物件にも築浅物件にはないメリットがあります。

代表的なものは以下の三点です。

(1)件数が多く好きな物件を選びやすい
(2)築浅物件と比べて家賃相場が安い
(3)和室に住むことができる

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

(1)件数が多く好きな物件を選びやすい

築古物件には、築浅物件と比較して物件数が多いというメリットがあります。
そのため、部屋選びの際の選択肢は必然的に築浅物件より多くなります。
築浅の物件に限定して部屋探しをすると、どうしても対象になる物件数は少なくなってしまいます。築古物件を選択肢に入れると、複数の物件を比較しながら部屋を選ぶことが可能です。

・同じ条件でもより家賃の安い部屋が見つかりやすい
・同じ家賃帯の中で最も条件の良い部屋を選ぶことができる

好みの条件や希望を実現しやすいという点では、築浅物件よりも築古物件が優れていると言えます。

(2)築浅物件と比べて家賃相場が安い

同じ条件であれば、築古物件は築浅物件と比較して安い家賃で借主を募集している傾向があります。
築浅物件は設備や内装が新しいため需要が高いのですが、人気がある分家賃も高めです。相対的に築古物件の方が家賃相場は安くなります。

また、アパートやマンションは、築年数の経過によって、少しずつ家賃相場が下がっていきます。総務省統計局の調査によると、賃貸物件の家賃相場は、おおむね一年に1パーセント程度の割合で低下することが分かっています。

「条件は譲れないけれど予算をオーバーしてしまう」
「生活水準を下げずに家賃を少し抑えたい」

こんな場合は、築古の物件を検討してみると良いでしょう。

(3)和室に住むことができる

古い物件の特徴の一つは、物件内に畳張りの和室があることが多いという点です。
畳の部屋は古臭い、カビが生えそうで嫌だというイメージを持たれやすいです。そのため、選べるのであれば洋室が良いという人は案外多いもの。

こういった理由から、築浅の物件は全室クッションフロアを敷いた洋室になっているものが多いです。

「畳に布団を敷いて寝たい」
「レトロな和室で暮らしたい」

こんな希望があり、畳の部屋が欲しい場合は築古物件を重点的に探すと見つかりやすいです。

参考:https://offer.able.co.jp/oshieteagent/room/tatami-wooden-floor/#i-2

4.築年数だけを気にしての物件選びがおすすめできない理由

築浅物件・築古物件それぞれに独自のメリットがあります。

しかし、実は築年数だけを気にしての物件選びはあまりおすすめできません。それはなぜでしょうか?

ここでは、築年数だけを気にして部屋探しをした際に見落としがちな三つのポイントを紹介します。

(1)メンテナンスされている築古物件を見逃すため
(2)築年数が浅い=住み心地が良い部屋とは限らないため
(3)鉄骨造であれば虫の発生は少ないため

一つずつ詳細を確認していきましょう。

(1)メンテナンスされている築古物件を見逃すため

築年数を第一条件として部屋を探してしまうと、きちんとメンテナンスのされている築古物件を見落とす場合があります。

確かに、築古の物件は設備や内装が劣化している可能性があります。しかし、賃貸経営を行なっている多くのオーナーは、確実に借主を見つけるために定期的な修繕やメンテナンスを行うことがほとんどです。

しっかりと手入れをされている築古物件は、築浅の物件と変わらない住み心地のものも多くあります。
築年数そのものに対するこだわりがないのであれば、年数を基準に物件をふるいにかけるのは得策とは言えません。築浅の物件が良いと思う理由は何なのか、一度整理してみましょう。
希望を叶えられる築古物件の方が、よりお得に契約できるかもしれません。

(2)築年数が浅い=住み心地が良い部屋とは限らないため

たとえ築年数の浅い物件を希望していたとしても、築浅の物件=自分にぴったりの部屋とは限りません。
その他にも、部屋選びには以下のような様々な要素が関係してくるからです。

・通勤や通学のしやすさ
・周辺の生活環境
・家賃など費用の予算

もちろん、築浅を希望するのであれば、それも大切な条件の一つではあります。
しかし、築年数のみに着目して部屋を選ぶと、自分にとって住み心地の悪い物件を引き当ててしまうかもしれません。

・築浅で内装はきれいだけど近くに買い物スポットがない
・設備が新しいのは良いけどキッチンが狭く使いづらい
・壁が薄いのか、上下横隣りからの生活音がひどい

賃貸の部屋選びでは、自分でも気付いていなかった希望が住み始めてから判明することは多いです。
こういった事態を回避するためにも、まずは自分の希望条件を整理しましょう。条件に優先順位を付けた上で物件を選ぶことが大切です。

(3)鉄骨造であれば虫の発生は少ないため

築浅の物件を希望する方の多くが、虫の発生が少ないことを理由として挙げます。
しかし、築古物件だからといって、必ずしも虫が出没するとは限りません。階層の高い鉄骨造の建物であれば、比較的虫の発生は少ないためです。
アパートやマンションにおける害虫の発生は、一般的に部屋の階層が高ければ高いほどリスクは低いと言われています。
鉄骨造の物件であれば3階建てや4階建てのものも少なくありません。木造のアパートと比較すると、虫に遭遇する確率は低いでしょう。
虫の発生リスクを軽減させるため築浅の物件を選ぶのも手段の一つです。
しかし、築古の物件でも、部屋の選び方次第では害虫の出にくい部屋を選ぶことができます。部屋を選ぶ際は覚えておいてください。

参考:https://www.ielove.co.jp/column/contents/01542/

5.築古物件を契約する上で注意するポイント

築古物件であっても、工事や改修などでデメリットを克服している場合があることは先に紹介した通りです。
こういった優良物件を発掘するために、築古物件を契約する際にチェックしておくべきポイントがあります。

(1)物件の改修歴
(2)新耐震基準で建築されているかどうか
(3)木造か鉄骨造か
(4)家賃が相場どおりかどうか

以上、それぞれどのような内容なのか順に見ていきましょう。

(1)物件の改修歴

建物が古い場合、きちんとメンテナンスのされている物件かどうかは確認しておきたい項目です。

年数の経過した物件は設備や内装・外装がそれなりに劣化しているもの。建物の劣化は部屋の住み心地に直結します。建てっぱなしではなく、しっかりと手入れをされているかどうかは非常に重要なポイントです。

一般的に、築20年程度経過した物件には様々なメンテナンスが必要となってきます。
目当ての建物がいつ建築されたかは、その部屋の情報が掲載されている不動産サイトや広告に「築○年」という形で記載されています。
気になる物件が建築されてから20年以上経過している場合は、建物の修繕歴を確認してみましょう。物件を取り扱っている不動産業者に頼めば、管理会社に問い合わせてもらえます。

参考:https://invest-online.jp/column/timing-and-cost2-5796/

(2)新耐震基準で建築されているかどうか

建物が現行の耐震基準で建築されているかどうかは非常に重要なポイントです。
現在、マンションやアパートの耐震性を規制している新耐震基準は、昭和56年に作られたものです。
それ以前に建築されたものの場合、現行より低い基準の旧耐震基準に合わせて建てられている可能性があります。昭和56年より前に作られた物件なので、2023年現在で築40年以上経過しているものが対象です。

なお、アパートやマンションは建築に年単位で時間がかかることもあります。昭和56年に建築許可を受け、建築がそれ以降というケースも考慮が必要です。
もしも気になる物件が昭和56年から58年ほどの期間に建築されたものであれば、念のため安全性を確認してください。
新耐震基準に合わせて改修工事がされているかどうか、不動産業者を通して問い合わせてもらいましょう。

(3)木造か鉄骨造か

築古物件を検討する場合は、木造か鉄骨造かは必ず確認するようにしましょう。
特に木造アパートの場合、以下のような築古物件のデメリットがダイレクトに出やすい傾向があります。

・虫が発生しやすい
・上下左右の部屋の音が響きやすい

実際には、それぞれ物件の状態やメンテナンス状況にもよるので一概には言えません。
気に入った物件が築古だった場合、問い合わせや内見の際に問題ないか確認してみてください。

(4)家賃が相場どおりかどうか

築古の物件の場合、家賃が相場より高くなっていないかもチェックしましょう。

築古物件は築浅と比較して物件数が多いため、より多くの選択肢があります。「この部屋いいな」と思った場合でも、相場より高ければ同じ条件でより安い部屋が見つかるかもしれません。家賃が相場から逸脱した価格に設定されていないか確認することをおすすめします。

家賃相場の確認方法は、簡単なものだと以下の二つの方法があります。

・全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)のウェブサイトで調査する
・実際に不動産業者に問い合わせて確認してみる

全宅連の家賃相場は、全国の不動産業者のネットワークを利用して調査しているためデータの正確さに信頼のおけるものです。部屋の間取りなど、各種条件で絞り込みもできます。家賃相場を手軽に調べるのにはぴったりです。

不動産業者に問い合わせると、そのタイミングでのタイムリーな相場を知ることができます。部屋選びの相談も一緒にできるのでこちらもおすすめの方法です。
不動産業者からの営業や電話が不安な場合はメールでの問い合わせも可能です。自分に合った方法で家賃相場を調べてみてください。

参考:https://www.hatomarksite.com/analytics/stat/rent/

まとめ

築浅と築古にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

大切なのは、それぞれの特徴を理解し、より自分に合った部屋選びをすることです。築浅物件と築古物件の各メリットをまとめます。

築浅物件のメリット

・内装がおしゃれな物件が多い
・付属設備や配管などが新しく入居中に壊れるリスクが少ない

築古物件のメリット

・築浅物件と比較して家賃相場が安い
・物件数が多いため希望条件に沿った物件が見つかりやすい
・畳の部屋に住むことができる

理由があって築浅の物件を希望している場合でも、その条件は築古物件でも叶えられるかもしれません。築年数自体にこだわりがないのであれば、築浅希望の方も一度築古物件にも目を向けてみることをおすすめします。

もしかすると、より家賃の安い掘り出しもの物件が見つかるかもしれません。


カテゴリー:

2023/02/01